わたしたちは銀のフォークと薬を手にして / 島本理生

作者名と題名と本の装丁だけで読み始めて、恋のお話だと知りました。

どの本を読むのかを決めるときは冒頭だけ少し読んで決めることが多いので、まったく中身を知らずに読むのは珍しい。

作者の島本さんが書いたある本の後書きでズキンと来るものがあったので、今度はこの作者さんを読んでみようと決めていたのでした。

本の装丁がまがまがしくきれいで、題名に「薬」と入っていたのでどろりとした内容かなと思ったら、きれいな色が浮かぶお酒と食べ物、情景。

素敵すぎて空想上の生き物になってる椎名さん。純粋さをもったままの知世ちゃん。

二人の恋を知って改めて装丁を見ると、私が感じたまがまがしさがきらきらに変わるのでした。


わたしには知世ちゃんの友人の茉奈、平凡な女性が誰かの特別になりたくてもがく姿がせつない。

会社は利益を追求する団体だから有益でない人は排除されるし、そういうものだと分かってる。

分かってるけど社会に雑に扱われていると、自分を大切に思えなくなる。

自分が大切な一人だと思えるように、自分を大切にしてくれる人、自分が大切に思える人を探したい。

私は自己肯定感の低い、一人では自分を底上げできない人間なのだ。

だから、自分を茉奈に投影して彼女が幸せになってほしいと思ってしまう。


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