郷愁
実家の庭そうじをしていたら、
小さな釣竿が草に隠れて打ち捨てられていた。
プラスチックのそれは、1年以上そこにあったはずなのにきれいな黄色の発色のままだった。
私のスマホには動画が収められていて、
まだ元気だった頃の母が釣竿を使って庭の池のザリガニを釣り上げている。
無心に釣り上げようとする様子は、当時何気なく撮った動画のはずなのに、
亡くなった今では妙に切ない。
車庫に釣竿を立てかけて、しばらく庭を眺める。
荒れ果てている庭も、手入れをするにつれ母たちが元気だった頃の姿に似てきている。
秋の景色が後押しをして、しばらく郷愁に浸った。
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