よくこの題材を取り上げたな。 軽くない、ちょっと難しい感じ。 かなり周りの理解を受けずらいものを性愛の対象にしている人たちの物語。 以前、小児性愛者の男性が顔出しで自分の今までの犯罪と対処とを語るネットニュースに出くわしたことがある。 その人は、治療(と言ってもいいのか?)は難しく、性愛の対象となる青少年を視界に入れずに生活をしていよう心がけているようだった。 もって生まれた性質を「治療」できるわけもなく、他者を傷つけないように生きて行っている。 「そう」生まれてしまったばっかりに、すごく苦しいよね。 そういった他者を傷つける可能性のある性質をもった人が悩んでいるなんて、以前は知らなかった。 ただ「迷惑な人」「恐ろしい人」それだけ。 まさか苦しんでいるなんて、分からなかった。 そのきっかけは「青ひげ」だった。ネット公開していた漫画で、「兄たちがうらやましい。人に誇れる気質があって。私は誰にも理解されない」といったセリフがあり、そこで初めて、生まれ持った「性質」で苦しんでいる人がいることを表面的に知った。 のちに前述した小児性愛者の方の記事でさらに、苦しみを知る。 自分ではどうにもできない、世間とつながりを得ることができない、基本的欲求のバグ。 朝井リョウさんは、この苦しみを小説にエンタメに落とし込んだ。すごい。 この重苦しい題材を人が読めるエンタメに書ききったこと、すごいぞ。